2023年11月17日
イベントレポート当日はこれまでのむすび座作品のチラシも展示して最後の市民会館公演を迎えました。ロビーはたくさんの花でいっぱい。戦争の場面では怖い思いをした子どもたちも最後の花で心が解放されました。みんな天井を見上げて自分の絵を探していました。
7月から花の絵をみんなが描いて楽しみに待っていた「チト」にやっと会えました。
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あえて原作は読まず、ずーっと楽しみにしていた「チト」の舞台。
等身大の人形、心躍る音楽、すぐにチトが暮らすミルポワールの街の
世界に引き込まれました。
学校で「みんなとはちがう子」と言われたチトに、お父さんは「本物を見て学びなさい」と言い、次の日からチトは「みんなが暮らすこの世界」そのものを学校として学び、考え始めます。
戦争、犯罪、貧困、差別…「仕事だから」「お金が必要だから」と大人たちが目を背ける社会の歪み…。約60年も前に書かれた物語なのに、こんなにも現在の世界と重複するなんて…と切ない気持ちにもなりました。
でも、その一つ一つに向き合い、苦しむ人たちの心に美しい花を咲かせたチトの姿は、今この世界に生きている子どもたちの姿そのものであり、あきらめることのできない希望だと感じます。
ヒゲさんの「人の悲しみから目をそらさないチトは、だれよりも現実をみているよ」という言葉は、私たちオトナが一番噛みしめなければいけませんね。
「愛とはいっしょに生きること」。そのために、この世界の「だれか」の悲しみにも目を背けない生き方を親子でさがしていきたいな、と思いました。
(会員 I.K)